
淡交会志貴野青年部出身で、今年の3月に裏千家学園の本科(3年)を無事修了したM君が、春から東京で就職するので、志貴野青年部を退会することになり、去年、卒会だった私とふたりで、志貴野青年部他関係者の方々をお招きし、この青年部に育てていただいたことに感謝し、「巣立ち茶会」をおこないました。
会場は、私が改修に携わった囲炉裏のあるアズマダチの家でおこないました。当日は、雪や雨、そして合間に晴れる目まぐるしい空模様でした。悪い行いをしたM君と私なので、今からじゃ遅いと後悔しきりです。

待合前の板の間には、これから旅立つ者として、自戒も込め、良寛さんの詩が書かれた菅笠の炭斗を飾らせていただきました。
歩随流水覓源泉 歩して流水に随って源泉を覓む
行到源頭却惘然 行きて源頭に到って却って惘然
始悟真源行不到 始めて悟る真源行き到らざるを
倚笻随処弄潺湲 笻に倚り随処に潺湲を弄せん
歩いて流れに沿うて水源地(悟り)を求め、やっとたどり着いてみたら、これは何としたこと、あの滔々たる流れはどこにもない。ただただ呆然たるばかりであった。そこで、やっとわかった。真実の源を遠く探しても、到底そこまでゆけるものではない。まあ、それぞれの場所に従い、杖にもたれ、谷川の流れをすくってみることである。清流(悟り)はそこに厳然として存在しているのである。
そして、横の花は、M君が活けました。

待合で、香煎(松の実入り)と主菓子をお出ししました。主菓子は、澤田屋製の「千住」です。ヨモギ餡をピンクの餡が包み、さらに外郎が包み、パイ生地で巣籠のような感じにしていただきました。「千住」は、松尾芭蕉がおくのほそ道に旅立つ時の第一宿場です。
敷物は、高岡での青年部ブロック大会で使ったものです。莨盆は、M君のお祖父ちゃん愛用品です。

本席では、M君が3年修練の成果である流れるようなお点前を披露してもらいました。

続き薄茶にさせていただき、京都から取り寄せた干菓子をお出ししました。
ちなみに会記です。
待合
待合掛 「懐古今照」 坐忘斎家元
汲み出し 志野、赤絵 松の実入り
主菓子 千住 澤田屋製
本席
掛物 「養心如養花」 元建仁寺派管長 竹田 益州
花入 滄溟 荒井公夫造 (川合小泉下削り)
花 柳、桜 (ウンリュウヤナギ、ケイオウサクラ)
風炉先 杉板雲透かし
釜 田口丸釜 高橋敬典
炉縁 掻合わせ
茶入 撫肩 陽炎園 膳所
仕覆 権太夫金襴
茶杓 川合自作
水指 花三島 京 陶楽
棚 更好棚
茶碗
主 黒 昭楽
替 井戸写し 益子焼
建水 鉄鉢
薄器 雪月花蒔絵中棗 山中塗 早見征一
薄茶茶碗 蓬莱山 佐藤助九郎
替 鳳凰絵 等々
千菓子器 四方盆
干菓子 竹の子、桜、早蕨 かぎ良光製
濃茶 宝来の昔 岸松園
薄茶 歩の白 木田芳香園
青年部で使った道具、京都の学園での思い出の道具、今後の思いを込めた道具など、自分達でできる道具にさせていただきました。ちなみに薄茶は、この日のためのオリジナルで、八女と西尾のブレンドで、やさしい味になりました。濃茶がしっかりしていたので、いい塩梅の対比が出たと思います。銘は、丑年生まれのふたりだったので、牛歩にかけて「歩の白」にしました。

本席のあとは、点心席です。
10年前に婦人画報で大樋年雄賞をいただいた時の弁当を基準にして、囲炉裏での楽しみも加えた、西洋風点心にさせていただきました。料理は、当時の弁当を作っていただいた「木瓜」さんです。
この家にある食器を使わせていただき、高岡市西田にあるパン屋「ブレッド」のバゲットを使って、生ハム玉子サンドとスペイン風オムレツ、海老のムースを一皿に盛付けました。懐石料理でのご飯のおかわりも、サンドイッチを大皿に乗せ、皆さんに回していただきました。
囲炉裏には、アメリカ風の野菜スープを掛け、その下で、ステーキを焼きました。スープは、漆の器に取り分け、ステーキは、頃合いを見て、サイコロに切り分け、サラダの乗ったお皿に盛りつけます。
燗鍋は、ワインに変わりました。

この日は、6名×3席のお客様を迎え、気心の知れた者同志ということもあり、少しずつ遅れ、3席目は、そのまま私たちも相伴いたし、10時すぎまでの宴会となりました。
玄関前の駐車スペースで、車の入れ替えなどいくらか手間どり御迷惑おかけましたが、無事に務めることができ、皆様に感謝です。